バゲット以外のお勧めパンの記事で少し触れましたが、タヒチにはFiri firi(フィリフィリ)という揚げパンがあります。
そして、フィリフィリが美味しいと評判のお店を以前にご紹介していました。(フィリフィリについての詳細も下の記事参照)
これ以上のフィリフィリを探そうと思っていなかったところにきて、別のフィリフィリとの出会いが。
偶然の出会い
Magasin Louise のフィリフィリを知ってからは「油っぽいハズレに当たるのは嫌だし、他のお店でフィリフィリは買わないぞ。」と思っていました。
ところが、お腹が空いてたまたま立ち寄ったお店で相方がフィリフィリを買ってきたのです。
最初は「なんでまたふらっと立ち寄ったお店でフィリフィリを…?」と思ったのですが、「まだ揚げたてのアツアツだったから。美味しいよ」と差し出すのです。
砂糖付き Firi firi
それは、以前ご紹介したお店のフィリフィリとは違って砂糖をまぶしてあるタイプ。
食べてみると確かに美味しい。表面が適度にさっくりしていて、フニャフニャしていない。揚げたてでまだ温かいからというだけでなく、食べた後に胸焼けしない軽さです。
ミスタードーナツやクリスピークリームとは違う、家で作るドーナツに近くて懐かしい感じ。
普段は砂糖なしのプレーンなフィリフィリに慣れている私も美味しいと思えました。
試しに後日リピートしてみたらアツアツでなくても美味しかったので、やっぱりフィリフィリ作りが上手な製造者さんなんだな、と思いました。
袋を見ると、Firi Firi Mang と書いてありました。
Firi Firi Mang
・Firi Firi Mang を買える場所
Firi Firi Mang さんは、お店を持たず複数の小売店と契約して委託販売をしているようです。
私達がこのフィリフィリを買ったのはパペーテの Ecole de la Mission の近くのお店。
この小売店はどうも名前がないようなので説明が難しいのですが、 Ecole de la Mission の正門からパペーテの中心街方向に進んでいった時、1つ目の交差点の角にあるお店です。(周辺住民のみわかるであろう「Gervais, j'en veux ! 」という青いひさしのついたお店)
【2018年7月・追記】どうやらこのお店 ↑ は閉店みたいです。(正確には、現在改装工事中。リニューアルなのか、全く別のお店になるのか不明)。
代わりに、同じくこのフィリフィリを買える Magasin Roger Sienne の外観と地図を追加しておきます。
製造者さんに直接お聞きしたのですが、上記のお店以外にも複数のお店で販売してもらっているそうです。
パペーテの中華料理店 Le Jasmin の近くにある Magasin Lulu
Magasin Lulu からまっすぐ Sainte Thérèse 教会方向に行ったところにある Magasin Roger Sienne …など。
Magasin Roger Sienne は、楽器店「Music City」の隣。
他のお店も教えていただいたのですが、どうもお店の正式名称ではなく経営者の名前をおっしゃっていたみたいで(汗)、この2店舗以外は特定できず…。
目印は、白地にピンクで Firi Firi Mang と印刷してある袋。
パペーテ市以外でも販売を委託しているお店があるそうなので、見かけたら買いです。
・Firi Firi Mang の販売日
Firi Firi Mang さんは月曜と土曜が定休日だそうです。それ以外の曜日は、配達先の小売店が営業してさえいれば配達しているとのこと。配達は早朝らしいので、朝食の時間帯に行けば買える可能性が高いです。
・Firi Firi Mang の価格
フィリフィリ1袋(5本入り)が160フラン。一本が結構大きいので安く感じられます。(直径3㎝×長さ18センチくらい?)
・電話番号
TEL : 40 41 05 04
(これはフィリフィリを売っている小売店ではなく、製造者である Firi Firi Mang さんの電話番号です)
意外な事実が発覚
Firi Firi Mang さんの袋にはちゃんと原材料が表記してあります。「水・砂糖・酵母・小麦粉・バター・油」です。
あれ?ココナッツミルクが含まれていない!?もしかして書き忘れたのかと思って電話でお聞きしたら、「ココナッツは使っていない」という回答が…。
えっ、それってフィリフィリなの?ただのドーナツでは!?
そこで、原点に立ち返って Académie Tahitienne の公式サイトで「 firifiri 」という言葉を調べてみました。
firifiri とは、元々「(髪やひもなどが)編まれた、カールした」という意味の形容詞です。
そして、FARAOA FIRIFIRI で「小麦粉の揚げ菓子の一種。たいていは8の字型」とありました。(FARAOA =「パン・小麦粉」を意味する言葉)
つまりタヒチ語で言うところの firifiri は、必ずしもココナッツを原料として使うわけではないということが判明。
厳密に言うと、firifiri の特徴は2点だけ。
小麦粉でできた揚げ菓子であること
通常は8の字型であること(つまり、多くは8の字型だけど、そうでないものも有り)
おそらく、とある firifiri の製造者がタヒチらしさでアピールしようとココナッツミルクを配合したのが始まりでしょう。人気が出たため、他の製造者も真似をし始めて定着したのだ思います。今ではココナッツミルク入りが多数派になっている感じです。
相方に聞いても「フィリフィリはココナッツミルクが入っている」と言っていましたし、別ページでご紹介した Magasin Louise のフィリフィリにもココナッツが含まれています。
ネットでレシピを検索すると、どのサイトもフィリフィリの材料にはココナッツミルクが記載してありました。それで、ココナッツミルクは必須だと認識していたのです。
8の字型も必須項目ではなさそうなので、普通のドーナツもタヒチ語で言えばフィリフィリ。
今回取り上げた Firi Firi Mang さんのフィリフィリも、確かにフィリフィリなのです。1つ勉強になりました。
ココナッツミルクを使わないレシピということは、他のフィリフィリよりも歴史があるの老舗なのかも?
袋に記載してある電話番号が6桁という時点で、間違いなくかなり長い間フィリフィリを作っていそうな感じがします。
(ちなみにタヒチの電話番号の桁数についての記事もあります。ご興味がおありの方はどうぞ。)
美味しい Firi firi の共通点
この Firi Firi Mang さんのフィリフィリに出会って、美味しいフィリフィリの共通点に気づきました。
それは、製造者の名前が印刷されたビニール袋に入っていること。
印刷所に発注してオリジナルのフィリフィリ袋を作っているということは、素人のお小遣い稼ぎではなく、きちんと商売としてフィリフィリの製造をしている証だと思いました。
フィリフィリは茶色い紙袋で売られているのもよく見かけます。茶色い紙袋はたいてい何も印刷されておらず無地です。これはオリジナルの袋を発注するほどフィリフィリの製造をやっていくつもりがないということでしょう。なおかつ必要な情報を商品に記載しないという無責任な姿勢でもあります。
製造者名等が記載されていない食べ物でお腹を壊しても、誰にも苦情を言えないという事態に陥ります。(買った場所に苦情を言いに行っても、どこででも売っている無地の紙袋入りフィリフィリは、そのお店で買ったものと証明するのが困難です)
その点、製造者名や電話番号・原材料なども記載してあるビニール袋入りフィリフィリは、商品に責任を持つという姿勢が表れていて比較的信頼できるのでは、と思います。
当たり前といえば当たり前ですが、オリジナルの袋を用意しているということは長期的にフィリフィリの製造をしてきた、もしくはこれからも製造していくという製造者でしょう。フィリフィリの質にも定評があり安定して売れているということだと推測できます。(そうでなければオリジナルの袋を用意する前に廃業しているはずなので)
あと、紙袋に油を吸わせる必要がない、ビニール袋に入れて売ってもフィリフィリがベッタリ油っぽくならないという自信があるのかな、とも思いました。
(揚げ物なのでビニール袋の内側はもちろん油でテカテカしていますが、フィリフィリ自体はギトギトしていないのが不思議)
まとめ
タヒチでは物を売り歩く人がたくさんいます。オフィスや商店を訪ね歩いたり、郵便局や大型スーパーの駐車場など往来の多い場所で待ち構えていて道行く人に声をかけたりする売り子さんも…。
お小遣い稼ぎなのか、それで生計を立てているのかはわかりませんが、商材は花や果物だけでなく、素人っぽいクオリティのパンや調理済み食品であることも多いです。その場合、商品には何も記載されていないことがほとんどです。
以前は「それがその人の助けになるのなら」と思って買うこともありました。しかし、よくよく考えて見ず知らずの人から食べ物を買って大丈夫かしら?と思うようになりました。(特に子どもを持ってから食の安全が気になり始めました)
食べた後に何か大変な問題が起こっても、作った人に連絡すらできないのです。そう思い始めてからは何も表示されていない食品を買うのはやめることにしました。(そもそも原材料表示すらしないのは違法ですし…)
「フィリフィリにも同じことが言えるな」と、ふと気づきました。たとえお店で売られていても、何の表示もなく誰が作ったのかもわからないフィリフィリには不安があります。ちゃんと「私が作りました」と表記するということは自信の表れだろうと感じました。それならきっと美味しかろうという結論に至ったわけです。
もちろん例外もあるかもしれません。でも、イチかバチかで何の表記もない商品を買うよりは、製造者がわかる商品を選ぶほうが、美味しいフィリフィリに当たる確率は格段に高いと思います。
↓ Firi Firi Mang が気に入って日曜日に大人買いした様子はこちら ↓