タヒチ滞在中は蚊が媒介になる感染症が気がかりです。しっかりと虫よけ対策をしたほうが良いと思います。
今回は主にデング熱、ジカ熱、チクングニア熱について見ていきます。
各感染症の詳細は医療機関や公的機関の情報を参照していただくとして、ここでは虫よけ対策の基本などをご紹介したいと思います。
感染症の共通点
デング熱はデングウイルス、ジカ熱はジカウイルス、チクングニア熱はチクングニアウイルスと、それぞれ違うウイルスに感染することで起こる病気ですが、ある程度の共通点があります。
共通点に着目すると、どんな病気なのかが把握しやすくなると思うので挙げてみます。
蚊が媒介になる
治療薬がない
発熱し、発疹が出る
潜伏期間がある
通常は非致死性(死亡例はかなり稀、でもゼロではない)
厄介なのは治療薬がないこと。痛みや発熱を解熱鎮痛剤で抑える対症療法となります。解熱剤を飲んでひたすら体が回復するのを待つわけです。
よって、感染しないに越したことはありません。一番の予防法は蚊に刺されないこと。
潜伏期間があるので、刺されてすぐに症状が出るわけではありません。旅行中は元気でも帰国後に発症する場合があります。
健康な成人が死に至ることはほとんどありませんが、持病があって免疫力が低下しているような場合は注意が必要とのこと。
免疫力の問題という同じ理由からだと思いますが、乳幼児や高齢者が感染すると重症化しやすいと聞いたことがあります。
個別の特徴を簡単に挙げるとすれば、次のような感じです。
デング熱:症状が非常に強い。1~4型まであって一度感染して免疫ができても別の型なら感染・発症する。
ジカ熱:デング熱より症状は軽い。感染しても症状が出ないこともある。ブラジルでは妊娠中の女性が感染することで胎児が感染し、小頭症児が多発。妊婦さんは注意が必要。
チクングニア熱:デング熱よりも潜伏期間が短く、旅行中に発症する可能性あり。
虫よけ対策の基本
肌を露出しない
虫よけの基本はできるかぎり肌を露出しないことです。
長袖・長ズボン推奨。
肌に密着しない服(肌と衣類の間に空間が多いもの)を選ぶこと。
気温が高くても長袖・長ズボンで肌の露出を防ぐのが望ましいです。同時に日焼け対策にもなります。タヒチの日差しはとても強いので半袖・短パンで直射日光を浴びるよりも、薄手のはおり物などで防御したほうが涼しく感じる場合があります。
できればサンダルではなく、靴下と靴を履いて足元も防御するほうが良いです。
肌に密着する服がダメな理由は、蚊の口針が服を貫通する場合があるからです。口針が布地を貫通しても、肌まで距離があれば刺されずに済む可能性が高くなります。
私の経験上、ジーンズの上からでも刺されることがあるので、厚手の生地なら安心とは言い切れません。
虫よけ剤の使用
いくら長袖・長ズボンを着用していても顔、首、手など、どうしても服で隠し切れない部分が出てきます。服装に気をつけるだけでなく、虫よけ剤の併用がお勧めです。
皮膚に使う虫除け剤としてアメリカ合衆国疾病管理予防センター(CDC)が推奨しているものには、ディート(DEET)、ユーカリ油(レモンユーカリ油)、ピカリジンがあります。
これらは科学的検証により有効性が証明されているので、虫よけ剤を選ぶ際の基準にすると良いでしょう。
ただ、敏感肌の人はこれらの成分が肌に合わなかったり、乳幼児への使用には向かなかったりする場合があります。(各虫よけ剤の注意書きを参照してください)
その場合、虫が嫌うハーブを配合した虫よけ剤も販売されています。人には無害とされていますが、上の3つの成分に比べて虫よけ効果は弱くなります。少しでも蚊が寄って来にくくなれば…程度の気持ちで使用するなら良いと思います。
一般に虫よけ効果があると言われているハーブ:
シトロネラ、レモングラス、ローズマリー、ラベンダー、ティートゥリーなど
納得のいく虫よけ剤を選ぶためには、現地調達よりも日本での購入がお勧め。成分を詳しく比較して購入するのがより簡単で効率が良いと思います。到着直後に購入できる場所を探すわずらわしさからも解放されます。
到着前に機内ですでに塗布しておく、離島への乗り継ぎ待ちの間に塗るなど、万全の対策も可能になります。
日本から家族が来てくれた時、あらかじめ虫よけ剤をネットで注文して実家に配送を依頼。そしてタヒチ到着時に飛行機から降りる前に塗るようにお願いしました。そこまでしなくても…と思うかもしれませんが、両親が割と高齢なので万が一感染したら大変ということで細心の注意を払うことにしました。
タヒチで購入できる虫よけ
タヒチ滞在中に足りなくなってしまった、というような場合にはスーパーマーケットなどで虫よけ剤を買い足すこともできます。パッケージに蚊のイラストが描かれていたりするので、見た目で分かるのではないかと思います。
ANTI-MOUSTIQUE(蚊よけ)と書かれていたり、CITRONNELLE(シトロネラ)などの成分が書かれているものが多いです。
タヒチのお土産としても人気があるモノイオイルにもシトロネラ配合のものがあり、地元の人にも蚊よけとして親しまれています。
【おまけ】蚊に刺された時の応急処置
ポイントは2つ。
刺された部分を水で洗い流す
刺された部分を冷やす
両方できればベストですが、出先で氷など冷やす物がない場合、流水で洗い流すだけでも効果があります。
実際に刺された直後に水道水で患部を洗い流してみたことがあります。(時間にして30秒から1分くらい?)
確かに普段何もしなかった時に比べてほとんど腫れず、かゆみも少なかったです。患部を清潔にすると無駄に炎症を起こさないということでしょうか。
応急処置をしたからといってウイルスを無効化できるわけではないので、デング熱などの予防にはなりません。しかし乳幼児や肌の弱い人には、刺された後の不快感を軽減する方法としてお勧めです。
感染症には流行がある
蚊に刺されたら、必ず感染症にかかってしまうわけではありません。ウイルスを持っている蚊に刺された場合に感染するのであって、ウイルスを持たない蚊は刺されても大丈夫です。(痒みはありますが)
そして、感染症には流行があります。タヒチでは時々「○○地区でデング熱の患者が確認されました」とか「最近感染例が増えています」というようなニュースを目にします。そういった報道を見ると、「あ、はやり始めてるな。気をつけなくちゃ」という認識になります。
感染者を刺した蚊が他の人を刺してうつる病気なので、感染者数が増えるとウイルスを持った蚊の数も増えるということで危険性が高くなるのです。
日本に居ながらタヒチのニュースを逐一チェックするのは難しいと思うので、旅行を計画している方は渡航直前に外務省の海外安全ホームページでタヒチについての最新情報を確認して、感染症が流行しているのかどうかを把握しておくと良いでしょう。
まとめ
デング熱に感染して辛い思いをしたことがあるので、感染すると大変な思いをしますよ~、一応予防はするほうがいいですよ~とお伝えしたくて記事にしてみました。自分でも詳しくは知らない部分があったので、改めて調べてみて勉強になりました。
長袖・長ズボンを勧められても…タヒチのようなビーチリゾートでは涼し気なサマードレスなどをさらりと着たり、可愛いサンダルを履いて旅行を満喫したい!と思う方もいらっしゃるかもしれません。旅行中は写真を撮る機会が多く、服装を気にしたくなる気持ちもわかります。
その際は、虫よけ剤での対策をしっかりしましょう。日焼け止めと同じで汗をかいたら拭いて塗り直すことも大事です。
ちなみに日焼け止めと虫よけ剤を併用する場合は、日焼け止めを先に塗って後から虫よけ剤を塗るのが良いそうです。
デング熱、チクングニア熱などを媒介する蚊は日中に活動が活発化します。日中の観光時にはカジュアルな格好でしっかり日焼けと虫対策、ディナーの時間帯にはおしゃれをするという風に工夫することもできます。(夜でも虫よけ剤は一応使用したほうが良いと思いますが)
蚊に刺されたからといって必ず感染症にかかるわけではないので、過度に心配する必要はありません。私は10年以上タヒチに住んでいて感染経験は1回だけです。それでも念のために虫よけ対策をしていればタヒチ滞在を心おきなく楽しめるのではないでしょうか。
今回の記事でまとめて書きたかったのですが長くなってしまったので、体験談は続編として次回お届けします。
自分は別に蚊に刺されやすい体質じゃないからいいや…と思っている人がいたら考えが変わるかも?
参考サイト:
虫よけ対策について
FORTH|お役立ち情報|ここに注意!海外渡航にあたって|虫除け対策をしよう
専門家が教える「正しい虫よけ」対策 | 子供とお出かけ情報「いこーよ」
デング熱について
ジカ熱について
チクングニア熱について